最近安くなったと噂のEC2 Dedicated Instancesの利用費用
Amazon EC2 Dedicated Instancesの値下げ
先日、Amazon EC2 Dedicated Instancesの値下げが発表されました。
値下げの詳細は下記となっています:
- リージョン専用の料金 - 時間あたり10 USドルから2 USドルの80%の値下げです。リージョン専用の料金は、最低1つ以上の専用インスタンスを実行しているリージョンに対して、実行している専用インスタンスの数に関係なく、時間あたり1回限り発生する料金です。
- 専用オンデマンドインスタンス - 時間あたりの料金が最大37%の値下げです。例えば、米国東部(北バージニア)リージョンのm1.xlargeの専用インスタンスの料金は、時間あたり、0.840 USドルから0.528 USドルに下がります。
- 専用リザーブドインスタンス - リザーブドインスタンスの予約金および時間あたりの利用料金が最大57%の値下げです。専用リザーブドインスタンスは専用オンデマンドインスタンスと比べて、最大65%の追加のコスト削減を提供します。
上記のどの値下げも、3割値下げ、5割値下げ、8割値下げとものすごい値下げ率となっています。相変わらずやってくれますなという感じですw
最近AWS利用料金周りの仕事をする事が多いのですが、そもそもEC2 Dedicated Instancesの課金の仕組みがよくわかっていなかったので、少し調べてみました。
Amazon EC2 Dedicated Instancesとは
Amazon EC2 Dedicated Instances(または専用インスタンス)とはAWSのWebサイトでは Amazon EC2 ハードウェア専有インスタンス と呼ばれるもので、単一のユーザー専用のハードウェアで実行されるAmazon EC2インスタンスです。何らかの規制や制限のために、マルチテナントの環境をご利用できないお客様向けに用意されたサービスになります。
シングルテナント
専用インスタンスはシングルテナントで物理サーバーにEC2インスタンスが起動します。下記のようなイメージです。
Dedicated Instancesでは顧客A用のEC2インスタンスは起動していますが、顧客B、顧客C用のEC2インスタンスは起動できません。
さらに上図のイメージだとDedicated Instancesの場合は、顧客A用のサーバーがたくさん起動していなければ物理サーバー内にまだリソースの空きが有るように見えますが、ここは空いたままとなります。つまりAmazonにとってリソースの無駄が発生しやすい状況になっています。
この 空き はAmazonにとっては機会損失になるため、Dedicated Instancesを利用する際はリージョン専用料金というものがかかってきます。
リージョン専用料金
リージョン専用料金とは「最低1つ以上の専用インスタンスを実行しているリージョンに対して、実行している専用インスタンスの数に関係なく、時間あたり1回限り発生する料金」です。
TokyoリージョンでDedicated Instanceを起動しているとすると、
- 1台起動している:毎時$2 >> 1台につき$2加算
- 50台起動している:50台でも毎時$2 >> 1台につき$0.04加算
- 100台起動している:100台でも毎時$2 >> 1台につき$0.02加算
のようになります。たしかに1社で多数のDedicated Instanceを起動すると通常のEC2インスタンスでの物理サーバー利用と同じようになり、無駄が少なくなります。その結果、リージョン専用料金を各EC2インスタンスに割り振った費用も少額になります。
ちなみに
- TokyoとSingaporeとN.Virginiaリージョンに3台ずつ計9台専用インスタンスを起動している場合は、リージョン専用料金は毎時$2×3=$6
※リージョン専用料金はAWSアカウント毎に各リージョンで発生するので、複数AWSアカウントをご利用されているお客様は各リージョンでリージョン専用料金を支払う必要があります。
専用オンデマンドインスタンス、専用リザーブドインスタンス
Dedicated Instanceの場合も、オンデマンドインスタンス、リザーブドインスタンスがあります。
Dedicated Instanceの利用費用を計算してみた
「すごい高い」という漠然としたイメージのあったDedicated Instanceですが、実際に執筆時点(2013/08/22)の価格表を元に、どの程度費用がかかるかを計算してみました。
スモールインスタンスを50台使ってみる
- リージョン専用料金:各リージョン毎に毎時$2.000
- 右の3列は24時間/365日EC2インスタンスが起動していると仮定
- そのため、軽度、中度リザーブドインスタンスの行の計算結果はあまり意味がありません
- リザーブド1年を3年使っているセルは前払金が3回支払われている想定です
スモールインスタンスを50台利用した場合を計算してみました。
スモールインスタンスの場合、インスタンス数が50台程度だと通常のEC2インスタンスに比べて2倍程度の費用でDedicated Instanceが利用できるようです。
スモールインスタンスを100台使ってみる
スモールインスタンスを100台利用した場合を計算してみました。
スモールインスタンスの場合、インスタンス数が100台程度だと通常のEC2インスタンスに比べて1年利用だと1.5倍、3年利用だと1.7倍程度の費用でDedicated Instanceが利用できるようです。
リージョン専用料金のみ値下げ前にしてスモールインスタンスを50台使ってみる
- リージョン専用料金:各リージョン毎に毎時$10.000
ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後に
ある程度具体的な費用感がわかると、Dedicated Instanceはお客様に提案可能であると感じました。
Dedicated Instanceの価格設定から全てのお客様への提案は難しいですが、インスタンス数が少ない場合でも提案できそうなケースはありそうです。